iPadをメインマシンにできないか?実体験を通じて考えてみました。
筆者はMac mini(M2)、iPad Air(第5世代)、iPad mini(第5世代)、iPhone15を所有しており、これらを使い分けています。これだけ見るとMac miniがメインマシンでiPadは補助的に使用しているように見えます。
実際に使用している時間はiPad Airが大半を占めます。これは私が使用するMac miniがノート型のマシンでないことも影響しています。Mac miniは手軽に移動して使用することに向いていません。本体だけでなくモニターやキーボード、マウスなど周辺機器も移動する必要があるからです。
そこで「それならiPadをメインマシンにできないか?」ということをベースに考えてみました。
絵を描いたり複雑な動画・画像編集をやらないという前提で、筆者の実感としてiPadはメインマシンになり得ると考えています。ただし、作業効率の点で少々「窮屈」であるという感覚を持っています。そういう意味では完全にMacやPCの代替になるかというとそうともいえません。
曖昧な表現ですが、我慢を強いられる場面があるものの目的次第でメインマシンになり得ると言えます。
MacまたはPCがなくても筆者のやりたいことは効率面を無視すれば達成できるというのが結論です。筆者が使用している時間の占有率から考えるとある意味メインマシンになっているのが実態です。一方で自分のデスクで作業をする所要時間は短いですが、この時はMac minが事実上のメインマシンです。
ではここからiPadの利点と欠点を中心にメインマシンとして充足できるか、という視点で説明します。
iPadの利点・軽量コンパクト
iPadの利点は軽量、コンパクトなサイズによる携帯性です。そうした利点を持ち合わせながら機能・性能的にMacやPCに迫るものがあります。
画面サイズは8.3インチ、11インチ前後、13インチ前後と大別すると3サイズのラインナップです。
重量は最軽量が297グラム、11インチ前後のモデルが446グラム〜481グラム、13インチ前後のモデルが481グラム〜618グラムです。13インチ前後のモデルでもMacBook Airと比べてもかなり軽量です。ここにアクセサリーとしてキーボードを加えると重量が増えますが、それも選択次第です。サードパーティ製の独立型キーボードならプラス200グラム〜300グラム程度ですし、重めのものでも500g程度です。
キーボードを使用しない場面では設置面積が最小で済みます。ノート型MacやPCではキーボードの面積が広いため設置場所を選ぶ必要があります。一般的なデスクであれば問題ありませんが、移動中や乗り物によっては設置場所に困ることもあるでしょう。
バッテリーの持続時間はノート型のMacに比べると劣りますが動画ストリーミングの公称値10時間です。使い方次第ではさらに持続するでしょう。
iPadは画面のタッチ操作ができるという強みがあります。マウスやトラックパッドでゴソゴソしなくても直接画面に触れることで操作ができます。マウスでポインティングすることも可能ですが挙動が特殊なので直接画面に触れる方が直感的です。
また、iPadは現行の全モデルでApple Pencilを使って手書きすることが可能です。文字だけでなく絵を描いたり、指の代わりにポインティングすることもできます。特にクリエイティブな作業をするユーザーには大きなメリットです。
次はマルチタスクです。Macほどではありませんが、あるレベルまでマルチタスクを活用することができます。特にSoC(システム・オン・チップ)にM1、M2、M4を採用したiPadはモニターの外部拡張も含めて比較的高度なマルチタスク(ステージマネージャー)が活用できます。欠点でも触れますが、Mac(MacOS)のマルチタスクほどではないことも言及しておきます。
iPadの欠点・ハードやソフトの制約
iPadの欠点はハードウェア、ソフトウェアに制約があることです。
ハードウェアの点でいうと「利点」でも言及したキーボードです。iPadはソフトウェアキーボードを利用できますが、ハードウェアとしてのキーボードはありません。そのため文字入力時には画面の一部をソフトウェアキーボードが占めてしまい、画面上の視認できる面積に制約を与えます。
もう一つの制約はインターフェースです。iPadにはUSBポートが一つしかありません。そのため拡張するためにはUSBのハブやドッキングステーションを使う必要があります。しかも接続する機器によって利用できないなどの制約が加わることがあります。
つまり拡張性に制約があるということです。
次にソフトウェアの欠点です。
まずOSが”MacOS”ではなく”iPadOS”という点です。”iPadOS”はもともとiPhoneのOSである”iOS”から派生したものです。これがMacOSなら差別化という点を考慮しなければiPadならではの制約が無くなるといえます。
話を戻します。iPadではソフトウェアいわゆるアプリの制約があります。iPadにはサードパーティ含めて多くのアプリがあります。中にはMacやPCと同じアプリを使えるケースがほとんどですが、機能に制約がある場合が多いです。
利点で言及しましたが、iPadのマルチタスクは進歩したもののソフトウェア同様に制約があります。タスクの数や配置に制約があります。MacOSほど自由度は高くありません。またマルチタスクをより活用するためには画面サイズを選びます。
筆者はiPad Air(第5世代、M1)11インチを利用しており、マルチタスク(ステージマネージャー)も使っていますが、そのサイズから画面面積の点で制約を感じています。現在は13インチのiPadが欲しいと考えています。
筆者の使用感
ここから筆者の使用感です。使用例も含めてお伝えします。
iPad Air(第5世代、M1)、iPad mini(第5世代)、Mac mini(M2)を所有しています。
この3台のうち最も使用時間が長いのがiPad Airです。これは自宅で動画やウェブサイトからの情報収集に使っています。頻度は少ないですが、ブログの更新にも使います。
次に使用時間が長いのがiPad miniです。主に仕事も含めて外出時に使用しています。使用の中心は通勤時や仕事での情報収集、メモが大半を占めます。
最も使用時間が短いのがMac miniです。情報収集にも使いますが、主な目的はブログ更新と画像編集、動画編集です。画像や動画編集は複雑なものはやりません。ブログに掲載する写真を編集する程度です。動画は仕事で必要な時だけシンプルな切り貼りと明るさ、色合いの調整程度です。
こうして見ると、情報収集が大半を占める使い方です。
情報収集の際は特にiPadの使い辛さを感じることはありません。一方で動画編集や画像編集の際は作業効率面で使い辛さを感じることがあります。作業効率については画面サイズの違いも影響しています。Mac miniでは27インチのモニターを使用しており11インチのiPad Airと比べれば操作性が劣るのは仕方のないことです。13インチのiPad ProやiPad Airを使えば操作面の効率は改善するでしょう。
操作性の違いはタイピングによる入力、画像編集時のポインティングにおいて効率が悪いと感じています。
またアプリの制約、主に動画編集時の作業効率が悪いです。機能が制約されていたり、Macと同じように使うには裏技的な方法を使う必要があったり、などです。
例えば、動画編集ソフトのDavinch Resolve(無料版)はインターフェースの改善に裏技が必要です。
筆者の場合はクリエイティブな作業が無いので、iPadだけでやり過ごすことができます。それでも時折不満があるというのが実状です。
クリエイティブな作業をするユーザーにはMacやPCが必要でしょう。
さらに付け加えると、iPad Air(第5世代、M1)を外部モニターで拡張するとMacを外部モニターで拡張した時とは挙動が違うので違和感があります。これは単純に慣れの問題だけではありません。「できなくは無いけどとても窮屈」というのが実感です。
また、iPad Airを画面拡張するとUSB-Cを常時接続したままなのでインターフェースを塞ぐと言う問題と使用しながら充電も行うため発熱やバッテリー劣化の問題があります。
冒頭でも書いたように、使用目的次第ではiPadをMacやPCの代替としてメインマシンにすることができます。ただし、そのようなユーザーは少ないでしょう。
まとめ
結論としては、クリエイティブな作業をしなければiPadで事足りるというものです。ただし目的次第です。筆者も大半をiPadで対応しますが、それでもMac miniを所有し、効率重視で作業したいときはMacを使用します。
仮にiPadだけでほぼ全てを完結するのであれば、13インチ前後の画面で欲を言えばiPad Pro13インチがおすすめです。高額ですが、USB-CがThundebolt規格であることが拡張を考慮する際に重要になるからです。
この問題はまだ長い道のりがありそうです。iPad自体、ハードの進化は申し分ありません。あとはOSの進化に期待したいところです。