“AppleCare+“ を故障に遭遇する確率でみるとメリットが少ない!

今回は"AppleCare+"(延長保証)と故障率の関係について説明します。

この記事を見ることでAppleCare+"(延長保証)の必要性を故障率の観点でより深く検討することができます。

重要な点は次の通りです。

重要ポイント

  • 延長保証期間は故障率が最も低い期間に当てはまる
  • 不運(故障)に遭遇する確率はそもそも低い
  • 1年の限定保証対象は製造上・材質上の不具合のみ(無償修理)
  • AppleCare+(延長保証)は3年間で過失による損傷も有償対応

保証規約の内容もふまえて故障率の推移などから見ていきましょう。

"AppleCare+"の対象範囲、故障率と保証規約から読み解く

"AppleCare+"に限らず、製造業者が"無料で修理します"という保証の対象範囲は一般的に製造上の不具合と材質上の不具合に限定されます。

これは"AppleCare+"の規約にも明確に記載されています。

故障したからといって全て無料で修理できるわけではありません

以下は該当する規約に対象範囲として記載されています。

"〜(前略)〜お客様が、本プランの期間中に Apple に対し、材質上または製造上の不具合が対象機器に生じた旨、または充電式バッテリーを内蔵する対象機器に関して、対象デバイスのバッテリーの蓄電能力が本来の仕様の 80 % 未満になった旨のいずれかを通知することによって有効な請求を行った場合〜(後略)〜"(AppleCare+サービス規約/2021年4月20日以降購入分より抜粋)

さらにこの規約には「新品の部品だけでなく新品と同等の部品や交換用部品との交換」についても記載があります。

つまり購入間もない時期に発生した不具合が全て無料で修理できるわけではありません

これに加えて必ずしも新品の部品による交換だけではないということがわかります。

これは"AppleCare+"(延長保証)だけでなくApple製品購入時に付随する"Apple製品1年限定保証"でも同様の記載が見られます。

"〜(前略)〜エンドユーザである購入者が最初の販売店で購入した日から 1 年間 (以下、「保証期間」といいます)、Apple 発行のガイドラインに従った通常使用時における材質および製造上の瑕疵に対し、保証をします〜(後略)〜"("Apple製品1年限定保証"より抜粋)

"初期不良"という表現に惑わされることがあるようですが、AppleCare+の規約には"初期不良品"という表現は使用されていません。

まずこの点を理解しておく必要があります。

"AppleCare+"(延長保証)の規約、保証対象範囲に関する記事→

確かに製造上の不具合や材質による不具合は製品購入後(使用開始後)初期段階で発生するものが多いです。

初期段階の明確な期間についての答えはありませんが、工業製品には一般的に購入後1年間の保証が付いているものです。

これは初期不良(製造・材質上の不具合)が発生するのは購入後(使用開始後)1年間に収まることが多いため1年間という期間限定の保証があるわけです。

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保証延長期間の故障率

次に総体的に見た時の時間経過に伴う故障率の推移と延長保証との関係を見ていきます。

これは総体的な観点で見てください。個別の状況ではありません。

製品使用開始後の初期段階では故障率は高くなります。

製造上、材質上の問題で故障が発生する一般的な事象です。

時間経過とともに故障率が低下していき、一定期間後は故障率が下げ止まりになります。

下げ止まった故障率は一定程度続いてその後、さらに時間経過に伴い上昇します。

これは使用開始後は製造上・材質状の不具合が大半を占めていたのが、徐々に使用による劣化や時間経過に伴う材質劣化による故障が増えるためです。

従って、仮に初期段階で発生する製造・材質が原因となる不具合が収まる期間を1年とすると、延長保証というのは下げ止まった故障率の最も少ない期間にコストを投資するということになる可能性が高いわけです。

さらに再び故障率が上昇する期間が延長保証期間と重なったとしても、製造上・材質上の不具合でない場合が多いため、無料で修理ということにはならないわけです。

時間経過と故障率の関係
時間経過と故障率の関係

上記の表を見るとわかりますが延長保証期間が故障率の低い期間に合致するためコストとメリットが見合わないということになります。

"AppleCare+"(延長保証)のメリットは?過失による損傷の場合

では"AppleCare+"(延長保証)にメリットはないのか?という点で考えます。

前段で述べた通り、延長した期間において製造上・材質上の不具合を無料で修理できる確率は極めて低いわけですが、唯一"AppleCare+"(延長保証)においてメリットがあるとすれば、使用者の過失による損傷を修理する場合です。

この場合、有償修理となりますが、"AppleCare+"(延長保証)未加入の場合と比較すると安価で修理サービスを受けることが可能になります。

例は次の通りです。(Macの場合)

・画面のみの過失による損傷:12,900円(税込)

・外部筐体のみの過失による損傷:12,900円(税込)

・その他の全ての過失による損傷:37,100円(税込)

画面のみ、外部筐体のみの過失損傷の場合はリーズナブルな印象があります。

一方でその他の全ての過失損傷の場合は37,100円(税込)であり、元々支払った"AppleCare+"(延長保証)のコストに過失損傷の費用を加えると必ずしもお得とは考えにくいです。

メリットがあるように見えますが、元々"AppleCare+"(延長保証)に支払ったコストを考えると微妙な印象があります。

常に携行するiPhoneの場合は落下による損傷のリスクが高まりますから、モバイル端末については"AppleCare+"(延長保証)について一考の価値はあるように思えます。

それでもなお私は"AppleCare+"(延長保証)の購入を踏みとどまっています。

"AppleCare+"(延長保証)の必要性については概要をまとめた記事も参考にしてください。→AppleCare+は不要!Apple歴23年でも故障は少ない!損傷はモバイル保険でカバーしよう

"AppleCare+"(延長保証)を費用面で検証した記事も参考にしてください。

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まとめ・延長保証とは何か?

ここまで"AppleCare+"(延長保証)について故障率の観点を中心に見てきました。

故障率の観点から見ると"AppleCare+"(延長保証)のメリットはユーザーにとって大きいとは言えません。

一種の保険ですからコストとメリットを秤(はかり)にかけて判断するしかありませんが、購入する製品の全てが製造上、材質上の原因で不具合が発生するわけではありません。

皆さんも、購入した工業製品が購入後の初期段階で片っ端から故障したという経験はほとんど持っていないでしょう。

品質管理の仕事に携わったことがありますが、故障率が全体の1%を超えるような状況だと大騒ぎするレベルです。

あり得ないですし乱暴ですが、仮に故障率1%だとしても100台のうち1台の故障です。

不運に遭遇する確率が1%だと考えてみてください。

このように考えると"AppleCare+"(延長保証)は掛け捨て保険と割り切るしかありません。

私のように何度か"AppleCare+"(延長保証)を購入(契約)したもののメリットはなかったという例がほとんどではないでしょうか?

他にもいくつかの視点で検討も可能ですが、他の機会に譲ることにします。

参考動画→Apple Care+(延長保証)は必要ですか?Apple歴20年の結論!

参考動画→AppleCare+(延長保証)は必要なのか?そもそもそんなに故障しない!

<ガジェットブログ:Tangerine>



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